まだほとんどの桜が眠りについている頃、の南端「淀駅」界隈では、ひっそりと、でも鮮やかに、早春の風景が花開きます。
淀駅から歩いて10分ほどの淀水路沿い。約200本の早咲きの桜「河津桜」が並ぶこの場所では、ソメイヨシノよりも色濃く力強い花びらが、冬のモノトーンだった景色をあっという間に塗り替えてしまいます。冷たい風がまだ残る中でも凛と枝を広げるその姿は、まさに「魁(さきがけ)」の名にふさわしい桜です。

河津桜の魅力は、艶やかな色彩だけではありません。一ヶ月近くも続く花期の長さも、この桜を特別な存在にしています。重たげに垂れ下がる花房が水面に影を落とし、岸辺に咲く菜の花の黄色と溶け合う瞬間は、早春の京都ならではの色彩の競演。観光地の喧騒とは無縁のこの場所では、京阪電車の走行音と、花を求めて集まるメジロのさえずりだけが静かに耳に届きます。そよ風に揺れる桃色のカーテンをくぐり抜けるとき、季節の移ろいを確かに肌で感じることができます。
THE MACHIYA EBISUYAからのアクセスは、タクシーで約30分、京阪電車を利用すれば約45分です。窓の外を流れる京都の街並みを眺めながらの移動も、春への期待を膨らませてくれる道のりです。
京都が本格的な桜の可憐な色に染まる、その少し前。淀の河津桜が生み出す桃色の風景は、訪れる人に静かな活力を与えてくれます。水辺に揺れる早春の光を五感でたっぷりと味わいに、ぜひ足を運んでみてください。